20-06-23 Web講義まとめ1(まつば)

コロナのせいで急に取り組まなければならなくなったWeb講義についてです.実は,2〜3年ほど前からWeb講義にしてやろう(笑)とか企画していまして,いくつかの講義は既に準備していました.ここで一旦まとめようと思ったのは,高分子熱統計力学のアンケートでいろいろご意見を頂いて,(良い意見も改善すべき点も上げてもらいました)ここで,将来のため,誰か困った人がいたときのために置いておいたほうがいいなと思いまして,まとめます.

1.4月2週まで
コロナが日に日に悪化していく状況の中,大学の方針もコロコロと変わりました.(対面授業すると言ったり,しないと言ったり,いろいろ).最終的に大学の中からコロナが出る可能性がある以上,当面Webクラスにしなさいという連絡が来まして,基本的にWebクラスで授業を組み立てることに決定し,種々交渉を行いました.

◯輪講I→今年は幸い?に担当に当たってる年度.ばらばらでやるつもりだったが,共担の先生方と話し合った結果,松葉は約50名を6月に担当することに決定.読ませたい論文は集めていたので,英語と高分子物理を学べるような内容にしようと決定.詳細はしばらく時間があるので置いておくことに.
◯高分子科学(串刺しのやつ)→こちらは今年始めての受け持ち.とりあえず,合成,物性,材料みたいな形に分けて,物性担当に.こちらも受け持ちが5月末からなので,しばらく時間があるということでPending.
◯力学の基礎→共担の先生ともともとWeb化しようとか言っていたので,PPTはまとまって存在していました.あとはクラス分けテストをどうするかを打ち合わせて決定.最初はLine ですることに.
◯熱統計力学→松葉が1人でやっているため,すでにPPTはある程度まとまっている.ただ,著作権の問題がある事がわかったため,いくつかPPTを作り直す必要がでました.この講義は松葉のみ担当で,木曜日なのでGWの間もある事がわかっていたので,5回目までのPPTをあらかじめ作っておいて,スタートダッシュが決められる形に.

講義が4月20日の週からと決定したため,Web講義についてかなり真面目に調べる.個人的に考えた問題点は,著作権の問題がでてきました.色々文科省なども動いていただいた(褒めてる)のですが,正直良くわからん(笑).それで,可能な限り著作権フリー素材を使うことにしまして,探せば結構存在することが判明しました.特にOpen Universityの高分子の英語の説明は助かりました.リンクが4月16日にアップしたのに残っています.

あと,読めなかったのは学生のネットワーク環境でした.4月2週くらいまでの時点で,ネットワーク環境が明らかに貧弱でやばいことになっている学生,全く先輩や同級生からの情報が得られず混乱している学生(特に新入生),とりあえずパニックになっている学生がいました(対応はできる限りしたつもりですが).それを持って講義の方針を決定しました.
◯学生たちの通信環境は貧弱な可能性がある.そうである以上,貧弱な方に合わせるべきであろう
◯ZOOMは(当時)100名の制限あり.大きい講義をやるのは無理.
◯学生には選択肢をもたせたほうがよい
ということで,やったこと
1.力学と熱・統計力学は松葉担当がはっきりしているので希望者に向けてLineのグループを作成
2.PPTはすべてWebClass上にアップ.著作権の問題もクリアして,来年以降も少しの手直しでやりきれる形にする
3.実は研究室の方針もそうだったのですが「学生に選択肢を与える」ようにしました.
4.ネットワークが貧弱な学生向けのコンテンツを作る必要がある.

1.はもともと研究室でしているので抵抗ないですし,2.は準備しています.3,は実は松葉研の方針でして(Nicoさんがいたという理由もあるのですが),来てもいい,来なくてもいい,基本的に毎日Lineだけして生存報告をしてくれ,それ以外は実験しようと何しようと構わない,家で仕事してもいい,という方針にしました.下手に家に閉じこもらせるほうが,三密の危険があるかと考えまして.

若い学生さんって選択肢がないことを極端に嫌がるという気がしています.無いほうが頭使わなくていいから楽じゃん,ってのは,事実ですが年寄りの考え方ですね.つうわけで,3.を満たせる形で4.を狙うと.そこで,こういうページを見つけました.

学習院大学の田崎先生のページ

どこでどうやって見つけたのか忘れましたが,むちゃくちゃ役に立ちました.なら,最初から音声だけでわかるように作ればいい,というのがエポックメイキング(とまでいいます)でした.(存じ上げなかったのですが,田崎先生は物理の世界では非常に著名な先生でした.文章もわかりやすいわけです)録音の部分だけ自分で考えて
MacのボイスメモでPPTを見ながらしゃべる→それを軽量化
のみです.ただ,最初の頃はきちんとつなぎ合わせたりしていたのですが,どうも間違ってつなぎ合わせたのを指摘され,それ以降は一発どり(笑).

ZOOMやMEETは通信量が怖くて使えねぇな,と思っておりました.当時は.そのため,学生にネットワーク環境を,というのはかなり主張した記憶があります.

今年は花見もできませんでした.折角の機会だし,Nicoさんとしたかったなぁ,と研究室で思っております.心残りの一つです.

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高分子関連の教育素材(メモ書き)

以降,高分子関連のWeb教材です

IIT(インド工科大学)の高分子の基礎のレクチャー
https://freevideolectures.com/search/polymer/?fbclid=IwAR3cSfw7W8JfmCtd8vqXc7W4q8v9s_GKz1B9aUdsYttjjenUZQBiPzr1unc

Open University(UK)のレクチャーテキスト
https://www.open.edu/openlearn/science-maths-technology/science/chemistry/introduction-polymers/content-section-0?intro=1

Boulder Schoolテキスト
https://boulderschool.yale.edu/2012/boulder-school-2012-lecture-notes
ビデオまとめ
https://www.youtube.com/playlist?list=PLdV51-1AzT3MeIGdoc3_VBsMYnM3LXYiR

マニアックな人向け
Prof M. Muthukumar (U Mass)の講演
https://www.youtube.com/watch?v=GunaM4yW2Aw

なにかあれば追加していきます.情報ください.お待ちしております.以下,追記分

  1. Oさんからご推薦がありました.高分子物理というか,3Dプリンタですね.
    (0416 2236追記)
    https://www.ted.com/talks/joseph_desimone_what_if_3d_printing_was_100x_faster
  2. TEDで見つけました.天然系高分子.(0418追記)
    https://www.ted.com/talks/eben_bayer_are_mushrooms_the_new_plastic
  3. リーディング生のOくんが教えてくれました.かなりしっかりとしたまとめです.UCSDのProf. Darren LipomiのLectureになります.薄膜とかもやっているので,松葉研にも関連が深いです.
    https://www.youtube.com/user/djlipomi
  4. リーディング生のOくんが教えてくれました.基礎的な有機化学についてOrganicChemistryTutorです.他のも多いみたいです.こういう使い方もあるのね.
    https://www.youtube.com/channel/UCEWpbFLzoYGPfuWUMFPSaoA

また,みんなが楽しく実験できる日々までしっかり勉強しておきます.
(2020.01 BL43IR@SP-8)

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20-02-20 修論公聴会2020

修論の公聴会が無事に終わりました.例年のようにまとめです.

2020年2月19日

石井瑞歩くん「側鎖結晶性高分子を用いたフィルムの物性制御(Control of physical proterties with crystallizable side-chainpolymers)」(英語発表)
今年は一番最初になりました.副査は熊木先生とSathish先生にお願いしました.粘着剤などに用いられる側鎖結晶性の高分子の粘着・剥離性と表面構造,また粘着付与剤の効果についての議論です.まず滝本先生から粘着付与剤の構造や融点,軟化点についての議論がありました.また,副査の熊木先生から,高温での溶解性低下との関連,粘着付与剤が表面に析出するプロセスについての議論がありました.また,Sathish先生から相関距離からどのように溶けているのかを議論できないのか?乾燥後の表面について実測はしていないのか?モデルとの相関についてなどの議論をいただきました.各先生とも英語,日本語を交えて非常にレベルの高い議論でした.

英語での議論もしていて,非常に立派でした.松葉研の国際化への道を開いてくれたパイオニアです!

坂牧広夢くん「フッ素樹脂/PMMAブレンドの結晶性と相分離の制御」
副査は伊藤先生,宮田先生にお願いしました.フッ素系樹脂のPMMAブレンドの相分離と結晶成長の様子をX線散乱やTEM測定を駆使して調べた研究になります.宮田先生から,PVDFのような結晶多形は他の樹脂ではないのか?やPVDFのβ構造,α構造がどのように出たのか?また,それが密度ゆらぎとどのように相関しているのか?の議論がありました.また,伊藤先生からは何が新しいのか?という質問と熱履歴の際の相分離→結晶化の順序について,やTEM像についての議論をいただきました.特に,非常に小さなスケールで見たら何らかの構造があるのでは?という議論をいただき,適切に議論を返していました.

修士課程で最も伸びた学生さんの一人です.大量のデータに基づく解析をしっかりやってくれました.(特に就活終了後がすごかったです)彼も,国際化にものすごく貢献してくれました.

2020年2月20日

森田晃年くん「樹脂中におけるセルロースナノファイバーの分散性の評価」
副査は西岡先生,滝本先生にお願いしました.セルロースナノファイバーのコンポジット内部の分散を評価するという多分誰もやっていない分野なんだけど,なんで論文が・・・みたいな話です.レベル高いですよ,これ.西岡先生からはセルロースの分布についてナノメートル〜ミクロンにどのように変化するのか?どのように実際に動いていくのか?力学挙動などについてご指摘がありました.また,滝本先生からは模式図と顕微鏡の相関についてやCNFの凝集についての議論をいただきました.卒論のときに比べると圧倒的に成長したのを感じました.また,香田先生からも凝集についての議論があり,非常にCNFの凝集については注目度が高い,と感じました.

森田も非常に頑張っていた学生の一人です.共同研究先の打ち合わせは全て任せても安心のレベルまで行きました.

加藤将人くん「X線散乱法によるエチレン系アイオノマーの高次構造の解明」
副査はアイオノマーということで西岡先生,香田先生にお願いしました.アイオノマーの構造について散乱法を駆使して,内部構造を評価した「マニアック(by西岡先生)」な研究です.西岡先生からはTiの問題点についていくつか指摘があり,力学挙動や内部のモデルなどについて議論していました.また,Naのほうが粘度が高い,などの議論をもらい巻した.一方,香田先生からは核の数と分布について議論がありました.特にTiのDSCのピークはなんで重ならないのか?という非常に難しい議論まで突っ込まれており,非常に勉強になったかと思います.

加藤も最も伸びた学生の一人です.Yarusso-Cooperと光散乱測定は今世紀最大の発明だそうですが,なんにせよ広い空間スケールでの測定が入ることで一気に理解が深まった感じがします.

外山佳祐くん「二軸延伸フィルムの精密構造解析」
副査は川口先生,杉本先生にお願いしました.湿式逐次二軸延伸フィルムの構造変化について議論したという非常に産業を志向した研究です.おもしろいで.杉本先生からは相分離がいつ始まるのか?の議論がありました.特にTD延伸で孔は大きくなっていないことを指摘を受け,非常に頑張って議論を返していました.また,川口先生からはDryのフィルムの内部構造,X線散乱プロファイルについてのなぜ結晶が見えないのか?SAXSでは何が見えているのか?という議論がありました.また,それに関連して滝本先生からも議論があり,可塑剤についての分布と孔の関連について指摘がありました.

外山もよく頑張っていました.かなり緻密な議論をしたので,しっかり前進していい話まで持っていくことができました.中国関連の行事では本当にお世話になりました.


なんにせよ,5名とも非常にレベルの高い発表,質疑応答で非常に嬉しく思いました.2年前からの大きな成長が実感できました.リンク

夜は懇親会でした.10名の学生さんお疲れさまでした.

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20-02-13 卒業研究発表2020

というわけで,卒業研究発表のまとめです.5名とも発表はよく頑張っていました.

近藤優成くん
ポリウレタンの構造解析をメインテーマとして研究を行いました.Sathish先生から,SAXSの構造解析はできているが,他との兼ね合い,とくにWAXS測定の解析についての質問が来ていました.また,長周期と相関の違いについても指摘を受けていました.多くのアドバイスをいただき,修士での研究に向けていいアドバイスをいただきました.

佐藤龍斗くん
透明核剤系のPPの構造解析の研究テーマでした.しっかりTEMとSAXSを比較して,いくつかの議論が出ました.瀧本先生からはなぜアニールすると構造が変化するのかのご指摘を受けました.香田先生,杉本先生からは核剤の分散,凝集についての指摘を受けました.

佐藤綾汰くん
フッ素樹脂とPMMAのブレンドの構造解析が研究テーマでした.香田先生から相分離の基礎についてのご質問がありました.確かに,濃度変化をきちんと捕まえておくのは必要かと思いました.また,瀧本先生からPVDFとの相違を指摘されて,このあたりの議論はお互いもうちょっとやっても良かったかなと思いました.

鈴木悠作くん
粘着剤の粘着付与剤と極性の相関についての研究でした.瀧本先生から高温時の特性と凝集についての議論がありました.また,Sathish先生から凝集体の大きさと透明度,AFMで見えた構造の相関についての質問がありました.確かにゆらぎの観点から考えてもいいかもしれません.

村山駿介くん
2種類のイオンをもつアイオノマーについての研究でした.香田先生からイオンの中身についての議論がありました.確かに数字の議論は非常に重要でした.このあたりはこちらもモデルを考えておくべきでした.また,モデルについての質問がSathish先生からでました.西岡先生から後で議論したいのでよろしくと声がかかっているのでよろしくです.

5名ともお疲れさまでした.この2週間で実力が大きく伸びたのを感じます.この調子で次のステップに向かうために頑張りましょう.

2020.02.12 松葉研究室

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19-09-29 RWC2019

ラグビーのワールドカップやっています.ラグビーは小学校高学年で始めて,約40年(四捨五入).中学校のころに(中1)雪の早明戦をみて感動し,中3で種々あってラグビーをやらなくなり,観戦メインになりました.社会人のパナソニックに違和感を感じ(どうみても三洋電機),大工大高が常翔学園となり,啓光学園が常翔啓光(違和感あるわ)になるという古いファンです.

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190928/k10012103411000.html

まとめの記事から.まぁ,勝つのです.個人的にはもう言葉も出ないです.現地にいたら多分泣いてます.

で,そのなかで,福岡選手のインタビュー

 「これまで本当にきつい思いをしてしっかりと準備をしてきて、いまこの瞬間のために、たくさんの犠牲の上にこういう結果が出てきたと思うので、本当にうれしいです」

正しい方向に準備してパフォーマンスを出す,ってのが一番重要だな,と.しっかり頑張らないといけないし .で,自分の立場はというと

勝つってメンタリティ、勝ちたいっていうメンタリティが一番重要だったと思います

というのをいかに学生さんたちに植え付けるかが最大の課題ですね.正しい方向に努力すればそれはきちんと成果になる,ということを改めて学ぶことができたということは,ラグビーをやっていて,好きでいて本当に良かったと思いました.

日本人は身体が小さいから世界で勝てない,って言い訳するんじゃなくて,きちんとセレクトして,正しい方向で準備をする環境を整えるってのが大事なんだろうな,と.じゃぁ,山形の松葉はどうなのか?

スポーツと大学での研究を1:1で結びつけるのは間違いだとは思うのですが,文句を言うだけではなく(言うならきちんとそれが叶うような手法,手段でやってほしい,いうだけなら誰でもできるでしょ)この時代をどうやって生き抜くのか,その中で学生さんの指導と研究をどうやってすすめるのかが一番大事だろうな,と思います.その意味で科研費に頼らない研究をどのように立ち上げていくのかは本当に大事だな,と.

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190927/k10012102211000.html?utm_int=news_contents_tokushu_001

松葉は松葉のやり方をやるだけです.

明日から3年生が新たに研究室に加わります.今の雰囲気をいかにもり立てていくか,ですね.

あと,高分子討論会のなかの「高分子未来塾」のイベントで日華化学様にお邪魔しました.きれいなオフィスとしっかりとした界面化学のベースからの製品づくりに非常に感銘を受けました.

記念写真.うしろにはヘアケアのための美容室があるという.

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